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センターニュース No.5

「バリアフリー」と「こころのバリアフリー」

事務局長 池田ひろみ

バリアフリーという言葉は「バリア」と「フリー」というふたつの言葉が合わさってできています。「バリア」とは「barrier」という英語で、「さく、防壁、障害物、障壁」という意味があります。「フリー」とは「free」という英語で、「解放する、自由の身とする、救う、取り除く」という意味があります。ですから「バリアフリー」とは「障壁を取り除く」とか「障害物から解放する」という意味になります。

では、具体時に「バリア」とはどのようなもの、どんなことをいうのでしょうか。ここではまず車椅子を利用している人を例にとって考えてみます。車椅子を利用している人は、平坦な道であれば自力走行、あるいは介助走行で進むことができます。

しかし道の行く先に階段があったら、どうでしょうか。一段の段差であれば、介助走行の車椅子なら何とか乗り越えられます。しかし自力走行のときは、この僅か数㎝の段差を乗り越えられる人と乗り越えられない人に分かれてしまいます。一人で乗り越えられない人にとっては、この数㎝の一段が「バリア」となります。階段が二段になると、もうほぼ全員の車椅子利用者に対する「バリア」になってしまいます。

では、この「バリア」を「バリアフリー」にするためにはどのような方法があるのか考えていくことにします。例えば階段の隣にスロープがあれば、これで大丈夫です。そのスロープを通って車椅子利用者は自由に行き来することができるでしょう。ですからエレベーターは、すでにバリアフリーの機能をもっているといえます。

しかし、せっかくスロープやエレベーターがあっても、自転車や荷物などで場所が塞がっているのを目にすることがあります。たったこれだけで、新たな「バリア」ができました。

ではスロープやエレベーターなどの設備が無い場合は、どうしたら「バリアフリー」にできるでしょうか。その場合、介助者が4人いると車椅子ごと担ぎ上げてもらうことができます。しかし、介助者を4人伴って外出することはなかなかできそうにもありません。さらに街の中で階段に出くわす度に4人もの協力者を見つけることはとても大変です。車椅子に乗っている人は、階段を昇ったり降りたりすることを考えただけでも多くのエネルギーを費やさなければならないのです。

一方で、協力を求められる側の人達はどうかというと、積極的に手伝いたいと言えない気持ちがあるようです。私が講師を務める様々の介護講習会で受講生から多く伺うことは、「障害を持った人にどう接していいのかわからない」「車椅子のことも知らないのに、自分にできるとは思えない」「もしも怪我をさせたらと思うととても手伝えない」という意見です。

多くの人がこのような気持ちを抱くのはどうしてでしょうか。その原因を探っていくと、私達は日常の生活の中でほとんど障害を持った人と関わってこなかったことに気付きます。車椅子の利用者に限らず、様々な障害を持った人達はこの社会には少なからずいるはずなのに、私達の多くは普段の生活の中で彼らのことを身近なこととして感じる経験を多くもっていません。だから彼らのことがわからないということにつながるのだろうと思います。そしてわからないから、あるいは知らないから手伝うときになって漠然とした不安を感じるのではないかと考えます。

これが「こころのバリア」といわれるものなのだと考えますが、それでは、私達はこれからどうしていったらいいのでしょうか。まずは知り合うことから始め、そして話をすることです。わからないのだからきちんと話をして理解することが大切だと考えます。相手が望んでいることを知り、そのときに自分に何ができるのかを考えることができれば、随分と不安を小さくできそうです。それが「こころのバリアフリー」だと考えます。

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